遺留分を請求されたらどうすればいいか
1 遺留分とは
遺留分とは、簡単に説明すると、「相続人に最低限保障された取り分」のことです。
例えば被相続人が、「すべての財産をAさんに相続させる」という遺言を残していたとします。
しかし、このような遺言があったとしても、他の相続人は一切遺産を得られないわけではありません。
他の相続人は、遺留分侵害額請求によって、贈与・遺贈を受けた者に対して、法律上定められた割合に従って一定の金銭の支払いを求める権利を有しています。
2 相手方は主張できる権利を本当に有しているか
遺留分侵害額請求を受けた場合、まずは請求をしてきた人がどのような人なのかを確認しましょう。
遺留分はすべての相続人に認められているわけではなく、例えば、被相続人の兄弟姉妹には遺留分は認められていません(民法1042条)。
そして、排除や相続欠格、相続放棄により相続権を失った人にも、遺留分はありません。
また、遺留分侵害額の請求には期間制限があります。
遺留分侵害額請求は、相続が開始したことと、遺留分を侵害する贈与や遺贈があったことを知った時から1年間行使しないと、時効によって消滅します(民法1048条)。
相続開始の時から10年が経った場合も、請求することができなくなります。
このように、遺留分を請求された場合には、請求してきた人が、そもそも遺留分侵害額を請求する権利を有しているのかどうか、請求権がすでに消滅していないのかどうかという点を確認することになります。
3 請求額は正しいか
請求してきた人が本当に遺留分侵害額を請求する権利を有していたとしても、その人が請求している金額が適正かどうかはまた別の問題です。
遺留分侵害額請求として請求ができる金額は、法律上計算方法が定められていますが、計算がやや複雑です。
簡単に言うと、〈遺留分算定の基礎となる財産額〉×〈遺留分割合〉によって計算をします。
しかし、遺産に不動産が含まれている場合や、特別受益がある場合では、遺留分算定の基礎となる財産額の理解について、請求する人と請求される人との間に差が生じ、その結果として紛争が生じることもあります。
そのため、請求額に争いが生じるような場合には、弁護士に相談することをおすすめします。
4 遺留分侵害額請求の解決のために
遺留分侵害額請求をされた場合、請求した人に明らかに権利がない場合はともかく、不動産の評価額や特別受益の評価が問題となることがあるなど、すぐに円満な解決をすることが難しいケースも多いかと思います。
自分が遺産をもらえなかったことによる不満や、積年の感情が加わってしまうと、より話合いが難しくなる場面もあります。
話合いでの解決が困難である場合には、調停や訴訟という、裁判所での手続きを検討することになります。
遺留分侵害額請求の調停・訴訟については、こちらの記事もご覧ください。
遺留分の請求をされた場合、まずは弁護士にご相談いただければと思います。
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