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どのような場合に単純承認とみなされるのですか?

  • 最終更新日:2024年7月19日

1 単純承認とみなされる場合

相続が開始した後、相続人が相続開始を知った時から3か月以内に相続放棄又は限定承認をする必要があります。

限定承認とは、遺産のうち積極財産の範囲内で、消極財産も相続することを言います。

一方で、単純承認とは、この3か月以内に、被相続人の権利義務を承継することを相続人が無限定で承認することを指します。

民法上、一定の事由が発生すると、この単純承認をしたとみなされる場合があります。

相続放棄を希望する場合には、以下に挙げる単純承認事由に当たらないように注意する必要があります。

2 相続財産の全部又は一部を処分したとき

1つめは、相続人が相続財産の全部又は一部を処分したときです。

被相続人の財産を処分するということは、被相続人の財産を自らの財産であることを受け入れているとして、相続することを承認したとみなされることになります。

そのため、被相続人の預貯金を解約してしたり、不動産を売却したりすると、単純承認をとみなされ、相続放棄をすることができなくなりますので注意が必要です。

3 熟慮期間の経過

2つめは、法定の熟慮期間である3か月以内に限定承認または相続放棄をしなかったときです。

財産調査をするとなると、意外に3か月はすぐに経過してしまいます。

例えば、戸籍は本籍地のある市区町村で取得するのですが、被相続人の本籍地が何度か変わっている場合には、本籍地の市区町村ごとに戸籍を収集しなくてはならないため、時間がかかることがあります。

また、預貯金の残高証明書を金融機関から取り寄せる場合、金融機関に対して事前に予約を入れたうえで、残高証明書発行の手続することになりますが、金融機関が混んでいる場合には予約の段階で時間がかかります。

さらに、残高証明書の発行手続をしてから、残高証明書が発行されるまでには2~3週間ほどかかります。

財産調査に時間が掛かりそうな場合には家庭裁判所に対して、期限延長の申立てをすることをおすすめします。

4 相続財産の隠匿等

相続財産の全部もしくは一部を隠匿し、これを勝手に消費し、又は意図的に相続財産の目録中に記載しなかったときには、単純承認とされてしまいます。

隠匿とは、相続財産の有無や所在を分からなくすることを指します。

したがって、遺産から財産を勝手に持ち出してしまうと、法定単純承認とみなされる可能性がありますので、相続放棄を検討する場合には、注意が必要です。

なお、「相続財産の目録中に記載をしない」という事由について、相続財産の目録を作成する必要があるのは、限定承認をする場合に限ります。

そのため、この事由は限定承認の場合にのみ関係があることになります。

相続放棄を希望していたとしても、法定単純承認に該当してしまうと相続放棄ができなくなってしまいます。

ところが、何が法定単純承認に当たるかについての判断については、専門的が知識を要求されます。

相続放棄を検討される場合には、法律の専門家である弁護士に相談されることをおすすめします。

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